河川の氾濫リスクを可視化し、 防災計画の高度化を支援する。
河川の氾濫を想定した浸水範囲・浸水深・浸水到達時間を、地図上で確認できる浸水シミュレーションサービスです。事業拠点や周辺地域への影響を把握し、BCP(事業継続計画)や地域防災計画の検討にお使いいただけます。現在は、2019年10月25日の一宮川流域の豪雨を対象とした初期実証(PoC)の段階です。
Case 2019.10.25 / Ichinomiya RiverBreach scenario / 60–85 sec per run (96 km², 24 h)
公的データと浸水解析技術を組み合わせ、河川氾濫による浸水範囲と浸水深を地図上に可視化します。拠点ごとの被害の広がりを、BCP や防災計画の検討の前に把握できます。
Recent disasters in Japan
約1.5倍
1時間50mm以上の大雨の回数
1976〜85年の平均 約226回 → 2015〜24年の平均 約334回(アメダス1,300地点あたり)
出典:気象庁「日本の気候変動2025」表5-1.1[1]
約17万棟
内水氾濫による浸水棟数(10年間)
2013〜2022年の浸水棟数の59%。河川からあふれた水だけでなく、市街地に降った雨の排水が追いつかないことでも浸水が起きています
出典:国土交通省(水害統計調査より集計)[4]
4,337棟
2019年10月25日、一宮川流域の浸水家屋
茂原市など1,762haが浸水。うち茂原市が3,967棟。床上浸水2,264戸・床下浸水2,073戸
出典:千葉県 資料(国土交通省「水害統計」による)[5]
FloodRecovery は、国土地理院の標高データ、気象庁・千葉県の降雨・水位データ、PLATEAU の建物データなどを活用した浸水シミュレーションサービスです。地図上で解析範囲と堤防決壊の想定地点などを指定すると、河川氾濫による浸水範囲と浸水深を算出します。現在は、茂原市など一宮川流域で4,337棟が浸水した2019年10月25日の豪雨を対象に、過去の浸水記録と比較して解析結果の再現性を検証しています。
Sources▶河川が氾濫した場合に、どこが、どの深さまで、どのくらいの時間で浸水するか。BCP や防災計画に必要な情報を、利用者ご自身の操作で確認できます。
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河川氾濫シミュレーション
地図上で解析範囲、堤防決壊の想定地点、決壊幅、河川水位などの解析条件を設定し、その地点で河川が氾濫した場合の浸水状況をシミュレーションします。最大浸水深、浸水範囲の時間変化、浸水到達時間、浸水が想定される建物数を地図上で確認できます。
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過去の豪雨事例の再現と比較
2019年10月25日の一宮川流域の豪雨を、38か所の雨量観測データに基づいて再現します。解析結果を国土地理院の浸水推定図と重ね、浸水範囲の一致と差異を確認できます。解析条件の異なる再現結果を左右に並べ、条件による浸水範囲・浸水深の違いも比較できます。
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データの出典・利用条件の管理
解析に使用するデータの出典、取得状況、利用条件、観測時刻を一覧で管理します。地図上のすべてのデータレイヤーに出典を付け、解析結果の根拠を確認できます。雨量は浸水深とは別のレイヤーで表示し、取り違えを防ぎます。
Application screens
- 解析条件の設定
- 最大浸水深の表示
- 建物への影響
- 条件の比較
- 出典情報
地図上で解析範囲と堤防決壊の想定地点(画面では「水が入る場所」)を指定します。範囲内の地形・建物データの有無と、解析できるかどうかをその場で確認できます。
想定される最大浸水深を、国の手引きに沿った6段階の色で表示します。時間は「氾濫から X 時間後」で表し、実際の日時は付けません。
浸水が想定される建物数を浸水深の区分ごとに集計し、建物ごとの最大浸水深と浸水到達時間を一覧表示します(建物データは PLATEAU)。
過去の豪雨の再現では、解析条件の異なる結果を並べ、浸水範囲や浸水深の違いを国土地理院の浸水推定図と比較できます。
解析に使用したデータの出典、取得状況、利用条件、観測時刻を確認できます。
過去の浸水記録との比較により、解析結果の再現性を定量的に検証しています。条件と検証結果を添えてお示しするため、防災計画やリスク評価の検討材料として活用できます。
- Hit rate / 的中率
- 0.85
- CSI / 一致度
- 0.43
- False alarm / 空振り率
- 0.54
2019年10月25日の一宮川流域の豪雨を再現した解析結果のうち、最大浸水深が0.5mを超える範囲を、国土地理院の浸水推定図の判読範囲と比較した値です。的中率は記録の浸水範囲のうち解析でも浸水した割合、空振り率は解析で浸水した範囲のうち記録にない割合、CSI は両方の外れを含めた一致度です。
解析結果は、浸水推定図の判読範囲よりも広い浸水域を示す傾向があります。河道断面、堤防高、降雨条件などの精査を通じた精度の向上が今後の課題です。
これらは特定の豪雨事例を対象とした初期検証の結果であり、あらゆる条件での解析精度を保証するものではありません。
衛星画像(Sentinel-1)は、この事例ではピークの5日以上後の撮影しかなく、浸水発生時点の状況を確認することはできませんでした。検証できない場合は、そのことを明示します。
オープンソースの浸水解析エンジンと公的機関の公開データを組み合わせ、流域全体の浸水を短時間で解析します。解析条件を変えた結果も、短時間で繰り返し確認できます。
36時間分を、約9分で解析。
About 9 min per 36-hour run / 30 CPU threads
事前の計画づくりで、解析条件を変えた解析を短時間で繰り返せます。拠点ごとの対応の優先順位を検討する材料になります。
- 01
広域の浸水解析
一宮川流域全体の約128万格子を対象に、36時間分の降雨と浸水状況の変化を約9分で解析します。72時間分では約20分です(2019年10月25日の豪雨で計測。Mac Studio 1台、CPU 30スレッド)。
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指定エリアの短時間の解析
利用者が指定した範囲で河川氾濫を想定する解析は、実証環境での実測で、約100km²・24時間分が1回1分〜1分半程度でした。範囲を狭く、時間を短くすると、さらに短くなります。流域全体の解析とは対象と条件が異なります。
Application▶ - 03
複数条件によるシナリオ比較
実証では、降雨分布・河道条件・浸透条件・調節池などを変えた再現解析を比較し、浸水範囲や浸水深に影響する要因を確認しました。再現結果どうしは比較画面で並べて確認できます。
※ 実際の降雨状況や観測データを逐次反映するリアルタイム解析は、今後の検討課題です。
How it works
オープンソースを土台にした、独自の解析の仕組み
青:周りより低く、水が溜まりやすい所(模式図)
- 01
解析モデルの自動構築
解析範囲と氾濫の条件を指定すると、地形・土地利用・河川・建物のデータをもとに、自社開発の仕組みが解析モデルを自動で構築します。専門的な知識と手作業を必要としていたモデル構築の工程を、利用者の操作だけで進められます。
- 02
公的データを、出典つきで統合
国土地理院の標高、PLATEAU の建物、気象庁・千葉県の雨量と水位を、解析範囲に合わせて自動で取り込みます。どのデータから何を解析したかを、解析結果からたどれます。
- 03
SFINCS を活用した浸水解析
オープンソースの浸水解析エンジン SFINCS を採用しています。20m格子に5m間隔の詳細な地形(subgrid、1つの格子に4×4)を組み合わせ、計算負荷を抑えながら、低い所に水が溜まるといった地形の特性を解析に反映します。
- 04
GPU による高速化の検討
現在は CPU による並列解析(30スレッド)で実行しています。GPU を活用したさらなる高速化を検討しており、性能はまだ実測していません。
※ 解析時間は、格子の細かさ・解析する期間・解析条件によって変わります。簡略化した式を使うため、堤防の決壊口付近の急な流れなどは精度が下がります。
- SFINCS
2次元の浸水解析エンジン(オープンソース、GPL-3.0)。20m格子に5m間隔の詳細な地形(subgrid)を組み合わせます。
浸水解析
- HydroMT
地形や降雨などの入力データから、解析モデルを構築するオープンソースのツールです。
解析モデルの構築
- 38 gauges
気象庁アメダスと千葉県の観測所、あわせて38か所の雨量観測データから降雨分布を作成し、解析に入力します。
降雨の入力
- MapLibre GL JS
解析結果を二次元の地図上に可視化し、観測や浸水推定図と重ねて表示します。
2D 地図
- CesiumJS
解析結果を三次元の地形上に可視化し、地形の起伏と浸水範囲の関係を確認できます。
3D 地形
- 6 classes
浸水深は国の手引きに沿った6段階の色で表示し、0.1m未満は表示しません。
浸水深の色分け
地図上のすべてのデータレイヤーに出典を付けています。解析結果がどのデータに基づくかを、いつでも確認できます。
Data we use▶Our policy / 開発方針
解析条件と技術的な制約を明示し、BCP や防災計画の検討に使える浸水リスク評価を目指します。
FloodRecovery の解析結果は、設定した解析条件に基づく浸水の想定です。実際の災害状況の観測や、公的な防災情報に代わるものではありません。
解析結果には、解析条件・検証結果・技術的な留意事項を必ず添えてお示しします。解析結果を社外や一般への公表には使いません。
自治体、インフラ事業者、企業、研究機関の皆さまと実際の流域で検証を重ね、BCP や防災計画の検討に活用いただけるサービスへの発展を目指します。
Who we would like to work with / 連携をお願いしたい皆さま
自治体の防災担当部局
インフラ事業者
企業の BCP・リスク管理部門
研究機関
データのご提供・その他
公的機関が公開しているデータとオープンソースの技術を組み合わせ、解析結果の根拠をたどれるようにしています。
国土地理院標高 DEM5A・DEM1A・DEM5B・DEM10B、浸水推定図、地理院地図ベクトル
浸水解析モデルの基盤となる標高データとして使用します。5m 間隔の航空レーザ測量による標高を優先し、ない範囲は 10m 間隔の標高で補います。2019年の浸水推定図は、過去の浸水状況と解析結果を比較する検証用データとして使用します。
国土交通省 PLATEAU建物
3D 都市モデルの建物データです。浸水が想定される建物数と、建物ごとの最大浸水深・浸水到達時間の算出に使用します。
気象庁 アメダス雨量
過去の豪雨を再現する際に、降雨分布を作成する観測値として使用します。千葉県の観測所とあわせて 38 か所の雨量観測データを使います。
千葉県水位・雨量
県の観測所の水位と雨量です。降雨分布の作成と、河川水位に関する解析条件の設定に使用します。過去の災害時の河川水位を、氾濫を想定する際の条件として選択できます。
Copernicus Sentinel-1衛星画像
欧州の観測衛星のレーダー画像です。浸水範囲の確認に使用します。撮影時刻が浸水の発生時点と合わない場合は、その旨を明示します。
SFINCS浸水解析エンジン(GPL-3.0)
オランダの研究機関 Deltares が公開している、2 次元の浸水解析エンジンです。当社の仕組みの中で、解析部分をこのエンジンで実行します。
HydroMT解析モデルの構築
地形や降雨などの入力データから解析モデルを構築するオープンソースのツールです。解析モデルの自動構築の中で使用します。
MapLibre GL JS2D 地図
地図表示のオープンソースライブラリです。解析結果を二次元の地図上に可視化し、浸水推定図などの記録と重ねて表示します。
CesiumJS3D 地形
3D 地形表示のオープンソースライブラリです。解析結果を三次元の地形上に可視化し、地形の起伏と浸水範囲の関係を確認できます。
※ 使用しているデータ・技術の一覧です。各提供元との提携や認定を示すものではありません。
今後の展開(いずれも検討中です)
- 解析精度の向上(河道断面・堤防高・降雨条件の精査)
- 対応流域の拡大
- GPU を活用した解析の高速化
- 実証フィールドの拡大
- 自治体・企業・研究機関との連携
実証への参画、データのご提供、他の流域への適用について
FloodRecovery では、自治体、インフラ事業者、企業、研究機関の皆さまとの実証・技術検証を通じて、実用化に向けた取り組みを進めています。
現在、お問い合わせフォームは準備中です。受付開始まで、フォームからの送信はご利用いただけません。ご入力いただいた内容は、どこにも送信されません。






